知能ソフトウェア工学研究会
について
1998-99年度委員長 橋本正明
(九州工業大学 情報工学部 教授)

当研究会は,上野晴樹 学術情報センター 教授 (元東京電機大学教授)のご指導の下に,情報処理振興事業協会 (略称:IPA) の支援を受けて 1988 年 1 月から始まった, 「知的ソフトウェア開発環境に関する研究会」に源を発する. この研究会は,人工知能,知識工学,ソフトウェア工学 などの分野を対象とする研究事例の発表 (研究者による講演や研究論文の輪読など)の場として,月 1 回の頻度で年に 10 回ほど開いていた. 参加は自由で,地方から参加の若い研究者などには旅費さえも供与していた. 参加者は大学や公的研究機関の研究者や, 企業の研究者や実務家などからなる多彩な顔ぶれであった. 上野教授のお人柄を反映して,研究会での議論は実に活発で, 講演中にインターラプトの掛かることもしばしばでした. この研究会は 1991 年 11 月まで続きましたが, この年の春頃からこの研究会を母胎にして,当学会の第 1 種研究会を作ろうという話が持ち上がりました. そして,上野教授が学会に働きかけ, 村岡洋一早稲田大学教授をはじめとする多くの方々のご支援を戴き, 当学会の「人工知能と知識処理研究会」から分立するような形で, 1992 年 4 月に「知能ソフトウェア工学研究会 (KBSE: Knowledge-Based Software Engineering)」 として発足致しました.

当研究会は,「知的ソフトウェア開発環境に関する研究会」 時代の精神をそのまま引継ぎ,対象とする分野も同じとしました. このため,当研究会の対象分野は,本来的には, 人工知能や知識工学の分野とソフトウェア工学分野との共通部分とすべきかもし れませんが,旧研究会と同様に, 上記のいずれの分野でもよいとしております. また,さすがに講演中にインターラプトを掛けることまでは許しておりませんが, 研究会(年 6 回)での議論を活発にするために, 発表時間としてプレゼンテーションに 30 分,質疑応答に 15 分の計 45 分を確保するという方針を堅持しております. さらに,古宮誠一情報処理振興事業協会技術センター特別研究員の 3 代目委員長の 1996 年度より,発表者らの研究をエンカレッジするために, 発表者から特に希望があれば,研究会へご投稿戴いた原稿を対象に, 研究専門委員などによる模擬査読(但し,査読者は 1 名のみで当学会の技術研究報告への採録の可否には関係しない) を実施することに致しました.

当研究会は,海外との国際交流にも熱心で,初代委員長の上野教授 (1992-93年度)や,2 代目委員長の永田守男慶応義塾大学教授 (1994-95年度)などを初めとする多くの方々のご努力により, 1994 年にはロシア(CIS)の Pereslavl-Zalesski で小規模国際会議 JCKBSE'94(Japan-CIS Symposium on KBSE)を, 1996 年にはブルガリアの Sozopol で小規模国際会議 JCKBSE'96(Joint Conference on KBSE)を, 1998 年にはスロバキアの Smolenice で小規模国際会議 JCKBSE'98(Joint Conference on KBSE) をそれぞれ開催し, 日本からいずれも 20 名を上回る参加者がありました. そして,JCKBSE'94 と JCKBSE'96 をベースに, 当学会英文論文誌 1995 年 9 月号(Vol.E-67-D, No.9)と 1998 年 12 月号(Vol.E-81-D, No.12)に小特集 「知能ソフトウェア工学」を企画し, それぞれ 10 編と 14 編の論文を採録とすることができました. JCKBSE'98 についても,同様の企画を進めています.

また,データベースの研究者らとの共同で,当学会和文論文誌 1996年 10 月号(Vol.J79-D-I,No.10) に大特集「オブジェクト指向技術とその応用」を企画し, ソフトウェア工学の論文 12 編とデータベース工学の論文 14 編をそれぞれ採録とすることができました. 和文英文に限らず, 今後ともホットな研究テーマを採り上げて特集号を企画し, この分野の研究をエンカレッジして行きたいと考えております.

最近のグローバルスタンダード化や製品のトータルライフサイクル支援などの流れの中で, 情報システムはその役割を益々大きくしています. そのため,1998 年の 8 月の北海道大学における研究専門委員会で, 知能ソフトウェア工学とソフトウェア適用分野との境界領域に着目して, 研究テーマの拡大を図ることとした. この方針のもとで,当研究会では業務フローや CALS,ミドルウェア, エンタプライズモデリングをパネル・セッションやテーマにとり上げて来た. 当面はこの方針で努力し,また当学会の「人工知能と知識処理研究会」はもちろん 「ソフトウェアサイエンス研究会」や情報処理学会の「ソフトウェア工学研究会」 などの関連研究会とも共催し,研究テーマの間口を広げていきたい.

それでは,今後とも,当研究会へご理解とご協力をいただけますよう, お願い申し上げます.


IEICE SIG-KBSE (kbse-staff (at) selab.is.ritsumei.ac.jp)